対象読者と結論

Claude Codeのログが増えて応答が遅い、同じ会話を続けるほど処理が重くなる、と感じている方に向けた記事です。結論から言うと、原因は会話全体を毎回送り直す仕組みにあり、対策は作業の切れ目で /clear、同じ話題を続けながら整理するなら /compact を使い分けることです。あわせて、判定や仕分けのような単純作業はサブエージェントへ切り出すことで、本体の会話を圧迫せずに済みます。
なぜ長いセッションほど重くなるのか

Claude Codeは会話のたびに文脈全体を送り直す仕組みで動いています。これはコスト管理のページで説明されている通りで、キャッシュの有効期間(サブスクでは1時間、APIキーでは既定5分)より長く間が空くと、次のメッセージで文脈全体を処理し直すことになります。
つまり「少し席を外してから戻って続きをお願いする」だけで、裏側では重い処理が走り直している可能性があります。これを防ぐには、今の文脈がどれだけ埋まっているかをまず把握することが出発点です。
判断基準:/compact・/clear・/rewindの違い

3つのコマンドはどれも会話を整理する機能ですが、目的が違います。混同すると「戻したい部分だけ戻せない」という事態になりますので、表で整理します。
| コマンド | できること | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
/compact |
ここまでの会話を要約して空きを作る。残す焦点を指示できる | 同じ作業を続けながら文脈を軽くしたいとき | 要約自体が会話全体を読む大きな処理のため、続きが不要なら使わない方が安い |
/clear |
空の文脈で新しい会話を始める | 全く別の作業に移るとき | 直前の会話は /resume で戻せる |
/rewind(またはEscを2回) |
コードと会話、会話のみ、コードのみを選んで巻き戻す | 直前の指示や変更を取り消したいとき | Bashコマンドで変更したファイルは巻き戻せない |
これらの仕様はCheckpointingとCommandsの公式ページに記載されています。特に注意したいのは /rewind の制限です。Claudeに rm や mv などのBashコマンドでファイルを操作させた場合、その変更は巻き戻しの対象に含まれません。ファイル操作を伴う指示を出す前に、変更範囲が大きい場合は一度コミットしておくなど、戻せない前提で動くことをおすすめします。
再現可能な手順:文脈を整理しながら作業する

- 作業を始める前に
/contextを実行し、今の文脈使用量をグリッドで確認します。CLAUDE.mdが読み込まれているかもここで分かります。 - 同じテーマで作業を続けるが文脈が埋まってきたら、次のように入力します。
/compact ここまでの決定事項と未解決の課題だけ残して要約してください
- 全く別の作業(例えば会計データの確認から記事の下書きへ移るなど)に切り替えるときは
/clearを実行します。直前の会話が必要になったら/resumeで呼び出せます。 - 直前の指示が意図と違う結果になった場合は、入力欄を空にしてEscを2回押すか
/rewindを実行し、「コードと会話」「会話のみ」「コードのみ」のいずれかを選んで戻します。
この手順はCheckpointingのページで説明されている巻き戻しの挙動と、Commandsページの /compact /clear /context の仕様に基づいています。
この図は、ひとつの会話セッションの中で「作業開始→/context確認→作業継続中の/compact→作業切替時の/clear」という時間の流れを軸に、どのタイミングでどのコマンドを打つかを示します。図の矢印の順番通りに手を動かせば、文脈を埋めたまま次の作業に入ってしまう事態を避けられます。
具体例:判定作業をサブエージェントに任せる

問い合わせメールの仕分けやスパム判定のような、本文を書かせるのではなく選ばせるだけの作業は、本体の会話に結果だけを返すサブエージェントに任せると文脈を圧迫しません。サブエージェントは自分専用の文脈で作業し、要約だけを本体に返す仕組みのため、大量のログや候補リストを読ませても本体の会話は汚れません。
定義は次のようにMarkdownファイルとして .claude/agents/ に置きます。
---
name: mail-classifier
description: 問い合わせメールをカテゴリ分類し、結果だけ報告するエージェント
---
受け取ったメール本文を読み、以下のいずれかに分類してください。
- 新規問い合わせ
- 既存顧客からの質問
- スパム
分類結果と確信度(高・中・低)だけを報告し、本文の要約や返信文の作成はしないでください。
呼び出すときは、Claudeに「このメールをmail-classifierで分類して」と文で伝えれば任せるかどうかをClaudeが判断し、確実に動かしたい場合は @mail-classifier のようにメンションします。この挙動はサブエージェントのページに記載されている通りです。
失敗例と対策
失敗例1: 休憩を挟んだら急に重くなった
長時間同じ会話を開いたまま離席し、戻ってきたら最初のメッセージの処理が異常に遅く感じた、というケースです。原因はキャッシュの有効期間切れで文脈全体が再処理されたことにあります。対策として、作業を中断する前に区切りの良いところで /clear するか、再開時に重くなることを前提に計画を立てます。
失敗例2: /compactしたのに安くならなかった
続きが不要な会話に対して /compact を使ってしまうケースです。/compact 自体が会話全体を読む大きなリクエストのため、もう使わない会話には /clear の方が負荷がかかりません。この使い分けはコスト管理のページで明記されています。
失敗例3: ファイル操作を巻き戻せると思い込む
Bashコマンドでファイルを削除・移動した後に /rewind で元に戻そうとして戻らなかった、という失敗です。対策は、ファイルを直接操作する指示を出す前に重要なファイルはバックアップを取っておくことと、巻き戻しが効くのはClaudeの編集操作であってBashコマンドの結果ではないと理解しておくことです。
初心者向けの最小構成
まずは次の2つだけ覚えれば十分です。
- 作業テーマが変わったら
/clear - 同じ作業を続けながら重くなってきたら
/compact(残したい内容を一言添える)
/context で文脈の埋まり具合を時々確認する習慣をつけておくと、どちらを使うべきかの判断がしやすくなります。
中上級者向けの応用
CLAUDE.mdに毎回必要な指示を書き込みすぎると、会話のたびにその分の文脈を消費します。特定の作業にしか使わない手順は、CLAUDE.mdではなくスキルに移すと、呼ばれたときだけ読み込まれるため普段の文脈を圧迫しません。この考え方はコスト管理のページで紹介されています。
また、テストの実行結果やログの確認といった「読む分量は多いが結論は短い」作業は、サブエージェントに任せて要約だけ受け取る設計にすると、本体の会話を長く保てます。同時に動かすサブエージェントの数が増えすぎると管理が難しくなるため、どの作業をどのサブエージェントに任せているか把握できる範囲に留めることをおすすめします。
この図は、目の前の作業が「別テーマへの切替」か「同テーマの継続」か「判定・仕分けのような単純反復作業」かという分岐を軸に、/clear・/compact・サブエージェント委任のどれを選ぶかを示します。自分が今どの分岐に当てはまるかをたどって、対応するコマンドまたは委任方法を選んでください。
実践で分かったこと
週1回のコーチング録画の文字起こしを毎週月曜7:30に取り込み、フォルダへ振り分ける定期タスクを運用しています。これは録音という「読み込み量は多いが判断はシンプル」な作業を本体のメイン会話から切り離すためで、同じ会話の中で録音データを扱うと文脈がすぐに埋まり、その後の本題の作業が重くなることを防ぐ目的があります。実際に振り分けまで自動化してからは、録音の取り込み作業のためだけに本体セッションを圧迫する必要がなくなりました。
もうひとつ、外部の動画冒頭リサーチを毎月1日と15日の11:00に、YouTubeの伸びている動画の定点観測を3日に1回9:00に、それぞれ別の定期タスクとして回しています。リサーチ結果の調査過程は本題の作業と直接関係しないため、結果だけを受け取る形に切り離すことで、企画や台本づくりのセッションに無関係なログが混ざるのを防いでいます。過去に「毎日」「週1」と記憶していた頻度が実際の実行記録と食い違っていたため、現在は実行一覧で確認できた頻度だけを運用の根拠にしています。
一般的な手順と運営者の運用の比較
| 項目 | 一般的に説明される手順 | 運営者の運用 | その運用にしている理由 |
|---|---|---|---|
| 文脈の整理タイミング | 会話が重くなったら都度 /compact する |
作業の種類ごとに定期タスクへ分離し、本体の会話に重い処理を持ち込まない | 録音の取り込みやリサーチのような読み込み量が多い作業を本題のセッションに混ぜないため |
| リサーチの実行頻度 | 「毎日」「週1」など感覚的に決める | 伸びている動画の定点観測は3日に1回9:00、外部動画冒頭リサーチは毎月1日と15日の11:00と実行一覧で確認した値に固定 | 記憶していた頻度と実際の実行記録が食い違っていたため、実測できる値だけを基準にするため |
FAQ
Q. /compactと/clearはどちらを先に試すべきですか
A. 今の作業テーマを続けるかどうかで決めます。続けるなら /compact、別のテーマに移るなら /clear を選んでください。
Q. /rewindで戻したのにファイルが元に戻りませんでした
A. Bashコマンドで変更したファイルは巻き戻しの対象外のため、/rewind では戻せません。重要な変更の前にはバックアップを取っておく運用をおすすめします。
Q. サブエージェントは必ず使わないといけませんか
A. 必須ではありません。判定や仕分けのような単純で読み込み量が多い作業から試すと、本体の会話を圧迫せずに済む効果を実感しやすいです。
Q. 定期タスクの頻度はどう決めればよいですか
A. 最初は感覚で決めず、実行一覧などで実際に動いた記録を確認してから頻度を固定することをおすすめします。
まとめ
Claude Codeのログ増大による遅延やコストの悩みは、会話全体を毎回送り直す仕組みを理解した上で、/compact /clear /rewind を場面ごとに使い分けることで対処できます。判定や仕分けのような単純作業はサブエージェントに切り出し、定期的な取り込みやリサーチは記憶ではなく実行記録に基づいた頻度で運用することが、長く使い続けるセッションを軽く保つコツです。
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